はじめてネットで絵を買う①

こんにちは!

本日もよろしくお願いいたします。

1、待ちきれない

画廊でのバイトも早半年を過ぎ、伊藤久三郎のデッサンも購入、絵を買うお金もほとんどないはずの僕ですが、その頃ハマりはじめていたものがありました。

それがヤフーオークションウォッチングです。

これは僕が今心の中でそう勝手に名付けたのですが、まぁそのまんまで、ヤフオクの商品を買わずにただただ眺めている行為のことです。

つまるところ、僕はおよそ二ヵ月に一度のカタログを待ちきれなくなっていたんです。なので、家で気軽に絵を探せるネットオークションは僕の気持ちにぴったりとハマりました。

数あるネットオークションの中で、なぜヤフオクなのかというと、ヤフオクが圧倒的に絵画に強く出品数が多いからです。これはヤフオクのネットオークション業界への参入が早かったことが要因と思われますが、僕ももっと早く気づきたかったです。

毎日大量の絵画が出品され続けているヤフオク。

しかし本当にただ眺めているだけでは、そんなに面白くありませんし、勉強にもなりません。

ところが使い方によっては、ほとんどネット上に情報がない物故洋画にとって、ヤフオクはとても貴重な情報源となるんです。

以下、僕なりのやり方を列挙していきます。なお、他にも違う流儀をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが(そんな人いるのか?)、僕のやり方は基本的に効率を度外視していますのでその点はご了承ください。

物故洋画的ヤフオクの使い方

1、今探している、もしくはずっと継続して探している画家の固有名を検索条件に保存する(上限20件、ソートは新着順で)。これを毎日寝る前に全てクリックし、出品がないか見る。あったら買う買わないにせよ、ウォッチリストへ。そうすれば後に落札価格が見え、そのデータが集まればネット上でのだいたいの相場がわかるようになります。

2、検索欄に「油彩」と入れ、それを新着順にソート、それを上からすべて見ていきます。つまり、その日に出品された油彩画をすべて見るのです。慣れればわりとすぐに終わります。気になるものがあればウォッチリストへ。次に「水彩」「デッサン」「素描」「掛軸」「パステル」なども同様にして見ます。この検索ワードは工夫の余地があると思いますが、全部見ることが大事なので各自アレンジしてみてください。

3、「作者不詳」「作者不明」で検索、新着順で見ます。これはネットオークションは絵の専門家だけが出品しているわけではないので、明らかに誰の作かわかる絵でも作者不詳で出ていることがあるからです。もし、自分だけしかわからない、もしくは誰も興味がない画家だったらとても安く買える上に、もう一度名前を蘇らせた上で世に出すことができるので、ぜひ積極的に探しましょう。でないと、ゴミとして捨てられてしまう可能性が高いです……

4、半年も毎日定点観測していると、良い品を出してくる可能性の高いアカウントがわかってきます。そういったアカウントをフォロー。そうやってフォローしたアカウントの出品したものは全て見てみましょう。検索から漏れたものが埋もれている可能性がありますので。また、それとは逆に「この人、偽物しか出さないな」と思われる偽物専門業者もいますので、こういうアカウントは無視していきましょう。時間の節約になります。たまに本当によくできた偽物も出してきますが、推して知るべしです。

こんな感じのことを9年間、ほぼ毎日つづけております。

はい。めんどくさいですよね。でも、大丈夫です。習慣になってしまえばどうということはありません。それに、あまりこれに時間を取られ過ぎるのもよくないので、これを週に2度、月曜日と金曜日にやるだけでも十分です。この日に出品が集中しがちだからです。あとはそれぞれのライフスタイルに合わせて見てみてください。きっと素敵な出会いが待っているはずです。

2、「真作」「模写」表記は参考程度に

ネットオークションで皆さん気になるのが「本当に本物なの?」ということですよね?僕もそれが怖くてはじめは手を出さずに眺めているだけでした。

結論から言いますと「物故洋画の偽物のほとんどは有名画家のもので、それ以外の偽物は少ない。というかほとんどない!」

ということです。これが誰でもコレクションを始められる大きな要因です。

古美術商の世界は魑魅魍魎が跳梁跋扈している世界とお思いでしょう。それは正しいです。ただし、それは明治以前の日本画や水墨画、古陶、茶道具などに限られます。

物故洋画で値段がきちんと付く画家はほんの一握りです。なのでそういった画家の絵は偽物を作る価値がありますが、そうでなければ当然偽物を作るリスク、コストのほうが勝ります。具体的には、佐伯祐三、熊谷守一、坂本繫二郎、青木繁、長谷川利行、三岸好太郎、靉光、岸田劉生、黒田清輝、藤田嗣治などの画家の作品が出品されていたらまず疑ってください。

なので、用心は必要ですが、よほどの画家でない限り偽物はないと思っていいです。もちろん、図録や美術館で本物を確認し、見比べてからの入札をおすすめしますので、普段からの勉強の成果をここで発揮しましょう。

ちなみにヤフオクは数年前の規約の改定で絵画作品に「真作」「模写」などの表記を付けるように義務づけましたが「真作」と表記していても危ないものもたくさんありますし、逆に「模写」と表記されていても明らかな本物もあります。これには出品している人の性格が出ていると思います。

「真作」と表記されている場合、公的機関で鑑定して結果、偽物だと判明すれば二週間以内なら返品をお受けしますということが多いのですが、そもそも高いお金を払ってまで鑑定に出す人はいません。それに二週間以内にというのは結構無理があります。そういったところから高を括っている出品者もいる印象です。

鑑定も完璧な鑑定なんてありません。究極のところ、描いた本人にしかわかりようがないんです。当時の絵のことを知る専門家もどんどん減ってきています。なのに何をもって本物とするのか。そんな境界線上にある絵はたくさんあります。

なので有名画家の絵は図録やレゾネに載っていることが重要視されます。それも信用のおけるもの。私的に作られた図録などは偽物を載せて箔を付けるなどの捏造をされる場合もあるからです。信頼に足るものに載っていなかったら、まず本物とは見なされません。

一方、無名画家の絵はそもそもきちんとした鑑定機関や鑑定家もいません。図録もよくて薄いものが一冊。レゾネなんてものは作られていません。僕は困ったら、猪羽さんや経験豊富な画商さんに見せに行くこともありますが、それでもわからないこともあります。猪羽さんは、最終的にはご遺族にお見せすると言っていましたが、そういった目を持つご遺族の方々ももう少なくなってきています。

そういった意味ですべての出品を「模写」として出しているアカウントはある意味、正直なのかもしれません。

なので「真作」「模写」表記はあくまでも参考程度にとどめて、しっかりと過去の資料と自分の目で集めたデータと向き合いましょう。

3、絵と本棚との真剣勝負

ネットオークションでは出品からおよそ一週間後の夜に入札締め切り時間が設定されていることが多いです。

この一週間という時間、これを長いとみるか短いとみるか。

皆さまは働いたり、子育てや家事をしたり、学校に通ったり多忙な日々をお過ごしかと思います。

そんな中、一週間で図書館や古書店、美術館などに赴いて、一から新しい情報を仕入れることができるでしょうか? かなり都合よく資料が見つからなければ不可能だと思いますよね。

なので物故洋画コレクションにとって大事なのは、いかに普段から資料集めを意識的に行っているかということになります。

言ってみれば、これは絵と自分の本棚との真剣勝負なのです!

気になる絵を見つけた際に、家の本棚の資料がかすりもしなかった時の敗北感たるや……まだまだ精進が足りなかったかとその度に反省しています。

しかし、ここで問題がひとつ。

それは、資料は基本的に古書かつ希少品なので価格が高いし、ない!

ということなんです……下手したら実作品より資料の方が高かったなんてトンチンカンな現象も発生します。本当に謎です。

僕はそもそも古本好きなので、そんなものかと許せるのですが一般的な感覚ではないとは自覚しています。資料の買い過ぎで作品を買うお金がなかった、なんてことになっては本末転倒もいいところです。時には資料は一旦後回しにして、先に出てきた作品を買うことも必要です。臨機応変に行きましょう!

今回はここまで!

お付き合いいただき、ありがとうございました。

ではでは、また~。

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