作者不詳の絵を買う。

こんにちは!

本日もよろしくお願いします!

1、なぜ作者不詳の絵を買うのか

以前にも『20世紀 物故洋画家事典』や「はじめてネットで絵を買う」の回で触れましたが、今回は改めて作者不詳の絵の楽しみについて語っていきたいと思います。

なぜ作者不詳なんていう怪しそうな絵を買うのかというと僕の場合、大きく分けて3つの理由があります。

その1 作者不詳といっても、きちんと調べれば誰の作かわかる場合があるので、結果的に絵を安く購入することができる時がある。

その2 その絵が誰の絵かを調べる過程で、様々な知識を新しく身に着けることができるため、たとえ誰の描いたものかわからなくても損にはならない。

その3 作者不詳で捨てられそうになっていた絵を、もう一度名前付きで世に出すことができる。また、たとえわからなくても、その作品自体の質を論じることで世に問うことはできる。

ざっとまとめると以上の通りです。

まず、僕のようなあまりお金をかけられない人にとって作者不詳の絵は強い味方なのです。まして、僕は古本好きで、調べることそのものを楽しめるので趣味に完全に一致しています。誰の絵かわかった瞬間などは他に代え難い興奮がありますし、もし探しているコレクターさんがいれば、喜んでもらえるかもしれません。

また、わからなくても絵そのものは楽しむことができます。なので、大事なのは絵の質はちゃんとみて買ったほうがよいということです。どこの誰の絵かもわからない上に、あまり良いと思えない絵となるとさすがの僕もどう楽しんでいいかわかりません。なので、なんでもいいわけではなくて、自分の中に基準を作ることが大切になると思います。

2、どこにどのようにして出ているのか

では、作者不詳の絵をどこで買えばいいのかというと、安く手に入れるのならばヤフーオークションが一番だと思います。

いのは画廊や版画堂でも、プロの眼から見てもわからない、もしくはサインなどが一つもないのでわかりようもないなどの絵が作者不詳で出ていますが、そういった絵でも内容が良ければ結構いい値段が付いています。

ところが、ヤフオクではプロが見れば一目瞭然なものも作者不詳で出ていますし、絵の内容が良くても捨て値で出品されていることがあるのです。なので、そこを狙っていきましょう。

もちろん、ライバルは多いです。先輩コレクターの皆さんや、プロの画商さんすら見ています。

なので、そこは誰も気づかないこと、もしくは興味がないことを祈ります。

また、一時期は街の骨董屋さんやリサイクルショップでもそういった絵を見かけたらしいのですが、今はお店も少なくなりましたし、ネットにみんな出品しているので、足で探すよりもネットを見た方が効率がよさそうです。

あと、古物商の免許をとって、古物の市に紹介してもらい参加すれば、そういった絵にたくさん出会えるとは思いますが、僕はまだそこまでは踏み込めていません。

なので、今日もネットをウロウロしています。

3、調べ方

さて、そもそも誰の絵か完璧にわかって買うのならば、もう事前の知識から推測し得た、つまり作者不詳ではなく買っていることになるので、あとは工芸品やコピー品でないことを届いてから確かめるだけでよいのですが、サインも何もないものを買ってしまった場合は本当に調査が難航します。

まずは絵を額縁から外せたら外して、側面や裏面にもサインなどがないか確認します。

また、どこの額縁か、いつ頃のものかわかるスタンプなどが押してないかもチェックします。

ここまでで何の情報も得られなかったら、画風や筆跡、画題をもとに推測し、画集を捲ります。サインなどがなくとも、「もしかしたらこの画家かな」という憶測をもって買っていることが多いので、そこから調べていきます。

しかし、画集も完璧ではありません。空襲などで焼失してしまったのか、とある時代の作品がすっぽり抜けてしまっているなんてことも多いのです。そうなったら古雑誌を調べます。図版が載っているかもしれないからです。その画家が出品した展覧会の年を調べ、その年の古雑誌を中心に探します。国立国会図書館にあれば話は早いのですが、そうでなかったら古書で買ったり、あるいは置いてある図書館まで出向きます。

そこまでしても、似たような図版が見つからないときはこのまま作者不詳になってしまう可能性が高いです。僕の場合は画家のエッセイの中にその絵が描かれた場所らしきことの記載があることまでは掴めたのですが、肝心の図版に同時代の作のものが存在しないために、どうしても確証を得られていない絵があります。その経緯についてはまた後日書きたいと思っています。

サインもない、図版もないとなるともう鑑定すらできないので、あとは遺族や当時の画家仲間に聞くしか道は残っていないのですが、そういった方々が減っていることは前にも話した通りです。また、それだって完璧な証明にはならないので、もやもやは残ります。

ただ、だからと言ってそれらの絵を手放すかと言えば、僕の場合はすっかり愛着が湧いてしまい手放せなくなってしまいました。毎日、毎日眺め過ぎたんです。しかも、誰の絵かはわからないけども、見れば見るほど素晴らしい作品なのです。

これは僕が持っているしかないな、とそんなふうにまで思っています。

作者不詳沼は意外と深いです。皆様も是非、この探偵めいた楽しみを味わってみてください。

ではでは、また~。

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