ヤフーオークションにて購入。
作者不詳の日本画で、薄い紙に墨と鉛筆とパステルのようなもので描かれています。
制作年代は全くわかりません。
題材はおそらく「大原女」で、下絵だと思われます。大原女とは京都の大原の女子が薪などを頭に乗せて売り歩いた、行商の一種のことです。
左下に署名があり「三枝の間 鈴木青萍」と読めると思います。
鈴木青萍(すずき せいびょう)は画家として存在していたようなのですが、どういった人物なのかはまだわかっていません。よって、画風もわかっていないので鈴木の作とは断定できずにいます。今も手掛かりを探していますが、行き詰っているのが現状です。
さて、絵の内容についてなのですが、題材は大原女でいいと思います(もしくは薪が描かれていないので、単に農家の娘?)。
この絵を最初に見た時に土田麦僊の一連の大原女作品を思い浮かべました。これはそれを模写というか、意識して書かれた習作なのかもしれません。なので、土田麦僊の門下なのかとも思いましたが、定かではありません。もしくは、この画題が日本画を習得する過程でよく使われたものの可能性もあります。
全体的にとてもよく描けており、女性の可愛らしさもうまく出ていると思います。着物の表現も巧みです。日本画の下絵なので、絵のサイズが大きく見ごたえもあります。ただ、額装しようにも、軸装しようにもお金がかかり過ぎるので、購入以来このままなってしまっています。
このような「まくり」の状態で出てくる絵もたくさんあります。まくりはチェックしている人が少ないため狙い目です。
はい。ここで「あれ?日本画……?じゃあ、これは物故洋画ではないのでは?」と思った皆様……大正解でございます。
これは物故日本画です。これでわかる通り僕は物故洋画だけでは飽き足らず、日本画、掛軸、書などにも手を広げていきます。さらなる沼へ……その辺のお話はまた後々。とにかく僕は古いものにとことん惹かれてしまうようです。
作者不詳の絵にも色々なものがあります。意図的に作られた偽物もありますし、昔の専業画家ではない人たちが楽しみで描いたものが時代を越えて残ったものもあります。それぞれの好みを鑑みて皆様のスタイルに合った収集をしてみるのも面白いのではないでしょうか?