作品を手放すことについて

こんにちは!

本日もよろしくお願いします。

1、作品の保管について

今まで少しずつではございますが、作品の購入についてその方法や勉強法、ノウハウなどを実作品を交えながら紹介してまいりました。しかし、作品を購入した後のお話は全然してこなかったので、今回少しだけ書かせてください。

作品を購入した後の楽しみ方は人それぞれだとは思いますが、まずは壁に飾って楽しみたいと思う方が多いと思います。壁に穴をあけてよい家であれば画材屋さんに専用のフックと釘のセットが売っているのでそちらがおすすめです。あまり大きくない額縁であれば釘2本のタイプで十分安定します。少し大きくて重い額縁の場合は釘3本のタイプのものがありますので、そちらがおすすめです。

また、ネットオークションで購入した場合、裏のフックに掛ける紐が付属していなかったり、古くて危なっかしい時があります。額縁用の紐も画材屋さんに売っていますので、強度的にもそちらをおすすめします。また、そもそも額縁の裏に紐を通すための金具がない、または破損してしまっている時もあります。そんな時も専用のものが売っているので、額縁の重さに合わせた強度のものを選んで取り付けてみてください。

さて、壁に飾って楽しむにしてもずっとそのまま何年も飾っていたのでは絵が変色してしまう恐れがあります。全く日の当たらない廊下などに飾っていても安心はできません。できれば定期的に作品をかけ替えてあげましょう。僕は二ヵ月おきくらいに廊下の展示替えをしています。

その際に飾っていた作品をしまう箱が必要です。

購入した時に付属していれば良いのですが、画廊で購入するのでなければ、付属していないことも多いです。

そんな時、僕は梱包されてきたダンボールを少し改良して差箱にしています。どこかに注文すれば作ってくれるのでしょうが、それにもお金がかかるのでなるべく自作しています。

本来なら、黄色い布でできた黄袋というものに入れ、さらにダンボール製の差箱に入れるのが望ましいのですが、僕は全ての作品をそうやって保管できているわけではありません。

そうやって箱に入れた作品は日の当たらない、なるべく温度変化の少ない場所に保管するとよいでしょう。皆さんのご自宅での、最適な場所を見つけてください。

2、持ちきれなくなったら

しかし、そうやって額縁入りの作品をダンボールにきちんと入れると思いのほか大きくなり、保管スペースをどんどん圧迫していきます。

しまいにはスペースをはみ出し、自室が足の踏み場もない状態になることもしばしば……

そうなってしまうと展示替えどころか、好きな時に好きな作品を取り出すことさえ困難になってしまいます。

持っている作品を掘り出すのに、時間を費やすなんて完全なる無駄な時間ですし、そもそもこれでは作品を動かすことが多くなり、ふとした際に破損させてしまう恐れもあります。

そんな時は明らかに持ち過ぎなので、一度自分のコレクションを俯瞰し、手放す準備をしましょう。

これが公共の美術館、博物館だったら、その社会的役割から鑑みて大問題ですが、個人の、それも僕みたいな巨大倉庫を契約したりとか自社ビルの倉庫を使えたりとかしない一般コレクターでは仕方ないことだと思います。

コレクションの幅は物理的スペースの大きさに比例します。これはある意味においては、覆せない真理だと僕は考えています。そして物理的スペースの広さはそのコレクターの覚悟に比例すると言っても過言ではありません。特に僕みたいな一般のコレクターにとっては。僕が心の師と仰ぐ鹿島茂の古書コレクションは自室をはみ出し、廊下を埋め尽くし、階段をも埋め尽くし、家が潰れるのではないかという状態になったことがあるそうです。要はどこまでを保管スペースと考えるかなのですが、僕はさすがに家族との共有スペースにまでコレクションを侵食させる覚悟はできていません。

また、作品の好みや問題意識も年々変わっていくのが自然なことです。そこがぶれずに最初から稀有な蒐集ができるのは一部の鬼才のみなので、自分の眼の歴史を振り返りながら、方向を定める意味でもコレクションを整理することは決してやってはいけないことではないと思います。

3、どうやって手放せばよいか

どの作品を手放すか選んだら、次はどうすればよいのか。

一番やっていただきたくないのは粗大ゴミとして捨てることです……

物故洋画というものは長いもので100年以上家庭で守られてきたものです。ここでその歴史に幕を下ろしてしまうのはあまりにも忍びないので、なるべくなら次にバトンを繋ぎ、未来に繋いでいっていただきたいと思います。

もし、信頼できる画商さんがいるのなら買い取り依頼を出してもいいと思います。絵を買い取りしたくない画商さんはそんなにはいないので、話は早いと思います。値段はその画商さんによるので、なんとも言えませんが、あまり過度な期待はしない方がよいとは思います。

もう少し高い値段で売りたい時はヤフオクに出品するのも手です。僕は最近は画商さんにお願いする場合とヤフオクに自分で出品する場合と半々くらいでやっています。

ヤフオクのアプリなら出品も楽ですし、出品自体にお金もかかりません。売れた時には落札価格の10%の手数料が引かれますが、まぁ許せる範囲です。

売りたくない値段でオークッションが終わりそうなときはキャンセルもできますので、きちんと規約を読んで正しく使えばとても便利です。

メルカリなどのフリマアプリもありますが、絵は全くと言っていいほど売れないのでおすすめはしません。ヤフオクが優秀だと思います。

また、町のリサイクルショップに売ったり、骨董屋に売ったりするのも、専門家がいるとは限らないのでおすすめできません。

それと、美術館や博物館に寄贈と考える方もいらっしゃるとは思いますが、よほどの作品でない限り歓迎はされないでしょう。それに、僕としては美術館などで死蔵されるよりも、市場で家庭の眼の楽しみとして永らえてほしいと思っていますので、なんとかしてまた市場に放流してくださるとありがたいです。

長々と書いてしまいましたが、結論から言えば信頼できる画商さんを見つけて頼むことが一番で、自分で売ってみたい方にはヤフオクに出品することをおすすめします。

そうやって市場が賑わえば、物故洋画に関心を持つ人も増えるかもしれませんし、新たな発見も出てくるかもしれません。なので、作品を手放すことを忌避せずに、もう一度コレクションを見直してみてください。そのことによって、逆に何を大事に思っていたのかを気づかされることもありますので。

ではでは、また~。

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