はじまりは一冊の古雑誌から①

こんにちは!まもちゃんです。

さて、皆様にこれから物故洋画の楽しみ方を少しずつ語っていく前に、まずは僕がどんなふうに物故洋画と出会ったのかを綴っていきたいと思います。

というのも、実際に絵のことを勉強するにしても、いきなり「あの本を読め!」とか「とにかく買え!」とか言ってもハードルが高い気がするからです。

なので僕の体験を知っていただき「あ、そんな感じね」と気楽に物故洋画の世界に入ってきて欲しいと考えています。

では少々長くなりますが、ゆるゆるとお付き合いください。

1、絵は展覧会で観るもの?

僕はもともと絵画鑑賞が好きでした。とは言っても何も各地で開かれる展覧会をコンプリートする勢いで回っているような感じではなく、ときどき気が向いたときや偶々近くを通りかかった時に美術館に入るというそんな感じでした。

観るのは主に海外の巨匠と呼ばれる画家たちの作品。ピカソやモネ、ゴッホ、ルノアール、レンブラントやダヴィンチといった、毎年のように日本で展覧会が開かれている画家たちの絵でした。

今はこういう状況下で中々美術館に足を運ぶことも減ってしまいましたが、今でもきっと印象派やルネサンス期の彼らの絵を実際に目にすればものすごく感動するでしょうし、素晴らしいと思うはずです。そう考えるだけで早くまた気軽に美術館に行ける日々が戻ればなぁと思います。

そのように、僕はわりと絵画というものに長い間、関心がありました。特に印象派の作品群がお気に入りだったことを覚えています。このことは日本の物故洋画にハマるひとつの要因だったのですが、気が付くのはまだまだ後のことです。

毎年日本に大量に紹介されてくる印象派の絵画たち。大好きなのですが、それを毎年展覧会で観ているうちに僕は自然と「絵は美術館で観るもの。だって、どんなに好きって思っても高くて買えないし」と考えるようになっていました。

これはある意味間違ってはいないのですが、僕は世の中には高い値段が付けられていない素晴らしい絵画が存在することを見落としていたのです。

そのことを気づかせてくれるキッカケになった美術館が、東京のブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)でした。

2、ブリヂストン美術館の青木繫

僕には絵は高くて買えないという先入観があった他に、もうひとつ見落としているものがありました。

それは日本における西洋画需要の歴史です。

このことについては追々綴っていきますし、参考書籍も紹介しますので是非読んでいただきたいのですが、この歴史に目を向けさせてくれたのは、僕の場合は青木繁でした。

ブリヂストンの創業者石橋正二郎が、夭折した青木繁の作品を画家の坂本繁二郎の依頼により収集していたから青木の作品がたくさんブリヂストン美術館に収まっているなんてことも知らずに僕は青木の代表作『海の幸』を見ていました。

「これ、教科書でみたことある……」

小学生のような感想ですが、まさに僕の小学校の階段の踊り場の壁にこの『海の幸』の縮小版コピーの絵がかけられていたのです。僕はそのことも思い出していました。

そして、青木繁の自画像も見て、そのあまりの迫力というか執念のようなものを感じ取りしばらくその場から動けなくなってしまいました。

ブリヂストン美術館は常設展も素晴らしい絵が揃っています。それこそ、ピカソやマネやセザンヌも。青木繁の絵を見た流れでそれらも鑑賞できるのです。

しかし、僕はそんな「ザ・海外の巨匠」と思っていた画家の絵を見て思ったのです。

青木繁、全然負けてないじゃん!

むしろ良くない!?

いったい何がむしろなのか、どこが負けていないのか、議論の余地はありますし反論も受けつけておりますが、この時の直感は今でも正しかったと思っています。

そこで僕は気が付くのです。

西洋画は海外のもの、日本人は水墨画とか日本画でしょ?と勝手に思い込んでいたこと。

そして、日本人にも洋画家がいたという事実にすら目が向いていなかったことに!

僕は帰りの電車の中で猛省していました。おそらく何かブツブツとうわごとを言っていたに違いありません。

翌日、とりあえず図書館で青木繁の画集や有名と思われる画家の画集を借り読みまくりました。それらを読み終わると最寄りの図書館の画集を片っ端から借りまくりました。

おかげで知識はつきました。なぜ教科書に載るほど青木繁が重要な画家なのかも知りました。

しかし、まだ僕はコレクションを始めるスタート地点にも立っていませんでした。

なぜなら、根本的な問題は同じで、いくら好きでも青木繁の絵はないし、高い!からです。

もちろんこの時は絵が欲しいとか全く考えていなくて、純粋に知らなかった歴史を知ることがただただ楽しかったのです。

しかし、その歴史は思っていたよりもずっと深い底なし沼だったことにはこの時は気づいていませんでした。その沼の中に物故洋画が待っていたのです。

3、古本好き故に

僕はその当時、某大手古本屋チェーン店でアルバイトをしていました。週5で働いて、休みの日は池袋や早稲田や神保町の古本屋を巡り歩くという古本漬けの日々を送っていました。

なので日本の洋画家の資料を集めるんだというスイッチが入った途端、今までスルーしてきた画集や美術雑誌が目に入るようになってきました。

古本集めとは不思議なもので、意識するとしないとでは目に飛び込んでくる本の種類に雲泥の差が出るんです。店内に所狭しと並んだ本や、店先のダンボールに無造作に突っ込まれた均一本(100円で売られていることが多い)の中からまさに探していた本が見つかるんですから。これは古本集めの醍醐味だと思います。

そしてついにとある雑誌に出会うのです。

それは僕のアルバイト先の他店舗でのことでした。

この時の105円のお買い物があらぬ方向へ僕を導くことになるんですから、本当に人生は面白いですよね。

ではでは。本日はここまで。また~!

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